三苫選手のドリブルについて
-----2021年8月21日記載-----
今回は、メキシコ戦に一矢報いた三苫選手のドリブルについて書いていきます。
私は、三苫選手を追いかけていた訳ではありませんし、どちらかというとほとんど知りません。
五輪代表で出場している三苫選手しか知りません。
川崎でのプレーも見ているわけではありませんが、この数試合の三苫選手のパフォーマンスをみて、彼の武器であるドリブルに思うところがありました。
三苫選手のドリブルは、少し異質に映ると思いますが、そのからくりを言語化していこうと思います。
ドリブラーとしての特徴
まず、一つ目の三苫選手のドリブルの特徴は、速い。
とにかくトップスピードが速く、ボールなしで走っているのと同等くらい速い。
二つ目は、トップスピードでのボールの置き所が上手い。
これは、細かいタッチとかでは無く、スペースに対してボールを転がして自分が先に触れるところに置いている印象が大きいです。
三つ目は、ボールを触っていないトップスピードのランニング時にステップスピードの変化をつけられる。これにより相手のタイミングをずらしたり、相手の足が出てくるタイミングでレガテすることができる。
しかし、三苫選手の最大の特徴は、上の三つではありません。上の三つは、他のドリブラーと言われる人種も持っています。
三苫選手のドリブルの特徴
三苫選手の最大の特徴は、アジリティ能力が高い。
アジリティとは、方向転換する能力のことです。
この能力がとても高いので、トップスピードからスピードを落とさずに方向転換することができます。
そして、それを可能にしているのが股関節の内旋と外旋の可動範囲と旋回スピード。
方向転換に関して少しだけ書きますが、
人が歩いたり走ったりして前進しているときに左右に方向転換するときは、この股関節の内旋と外旋を使います。
- 内旋を使って左右に方向転換する動きをサイドステップ
- 外旋を使って左右に方向転換する動きをステップオーバー
前進しながらの方向転換は、この二つのステップを使います。
三苫選手は、この内旋と外旋を自由自在に操っていると感じました。
そして、その股関節の旋回運動時にボールをタッチして方向転換する動きと、旋回運動後のサイドステップやステップオーバー時にボールをタッチする方向転換を相手の状況に使い分けている。
それはもちろん考えてやっているわけではなく脳が目で見た状況で思考を飛ばして即座に答えを出しているのだと思います。
三苫選手のドリブルはヌルヌルっと抜いていく感じしませんか?
その正体は、トップスピードを落とさず、内旋外旋を使って滑らかに方向転換できる高いアジリティ能力があるからできる芸当です。
メキシコ戦では
疲れているメキシコの選手は、この三苫選手のトップスピードからの方向転換に対応できていませんでしたね。
もちろんゴールを奪ったシュートフェイントからの深い切り返しも股関節の外旋と内旋を使っています。
なので、かなりエグい骨盤のひねり方をしてメキシコ選手を振り切っていました。
メキシコ戦の三苫選手の起用に関しては、負けていたのでもう少し早く出しても良かったかなと思いますが、スーパーサブとしての破壊力は抜群だったと思います。
スタメン起用よりも良かったんじゃないかと個人的に思います。
その三苫選手は、来シーズンは、プレミアのブライトンなるチームに移籍し、ベルギー1部にレンタルされるようですね。
海外は、Jリーグとは違い守備のアプローチが止まりませんので、その間合いに最初苦労しそうではありますが、それに慣れてきてからが勝負かなと思います。
ただし、シーズンが進めば、内旋外旋の動きの研究はされるでしょうから、そこからまた難しい状況が来るかもしれません。
何にしろ三苫選手が海外でレベルアップし、W杯でメキシコやスペインにリベンジしてくれることを願っています。
-----2023年6月29日追記-----
これを見て、前回書いた記事の通り内旋外旋を使っていたようです。
ただ三苫選手の得意な形は、静止状態からの1対1だったようですね。
動画の解説
動画の解説にあった通り、体の向きを逆方向に向けてディフェンスを釣ってから、右足の内旋を使って体の向きを変えながらスタートダッシュをすることで、相手よりも有利な加速状態を作るのがコツだったようです。
前述で書いていたトップスピードからの方向転換と原理は一緒ですね。
スムーズで急激な方向転換とスピードによって相手より有利な状況を作っています。
僕は、トップスピードからの方向転換がかなり効いていたので、そちらが三苫選手の武器かと思いましたが。
自分の得意な形に持っていくこと
自分の得意な静止状態に持ち込むこと。
言うのは簡単なんですけどね。
実際は、難しいです。
結局、相手がディレイをしてくる状態に持ち込む力があるからこそですね。
それはやっぱりトップスピードのドリブルをまず緩めようとするディフェンスの心理でもあります。
でも、報ステの話を聞く限り、残念ながらディレイをして静止状態に持ち込んだら三苫選手の得意な土俵という残酷な現実。
凄い選手ですね。
股関節の内旋外旋を使った方向転換と繊細なボールコントロールの積み重ねたドリブル
内旋や外旋を使って方向転換すると、つま先と膝を向けた方向に自然と体が向くようになっています。
体の機能を最大限に利用したドリブルだったということが分かりますね。
もちろんその方向転換と加速も必要ですが、その爆発的な加速の中で、インステップのコントロールをすることが必要です。
これをミスなく試合中のどんな状況でもあっさりと決めれるくらい練習を積み重ねたんでしょうね。
三苫選手の今後の活躍を楽しみにしています。