の続き
日本は、丁寧で正確なパスを要求します。
パスがズレたらパスの出し手は「正確に」と注意をされます。
スペインの育成年代では、突破をする場面では速いパスを要求します。
もちろんそこには、日本で言うようなで狙って欲しいポイントというのはありますが、丁寧に正確に受け手に優しくという事は優先順位が低いのです。
突破するための優先はパススピード。
もちろんスペイン人のキックは雑なので、速いパスを出せば、狙って欲しいところからズレます。
しかし、育成年代の彼らにとってそれは小さな問題なのです。
ズレたら、受け手がなんとかすれば良い。
むしろ、ズレて何とかするのは受け手の問題と捉えてます。
イニエスタを見てもらえると分かると思いますが、どんなボールが来ても置くべき場所にボールを置きます。
それは突破できる時なら突破するための場所に置きますし、相手のプレスが間に合うなら相手のいない所にボールを置きます。
スペインは、そうした育成年代を過ごすので、パスがズレても良いところにボールを置けるようになっていきますし、パスの出し手も速いボールを蹴る事の経験が多く、速いパスの精度が良くなります。
日本の育成年代は丁寧にパスを出すことを優先するので、パスの精度は上がりますが、パススピードはあがりません。
また、受け手は、正確でゆっくりなパスに慣れるのでボールを受ける技術が上がりにくく、ボールテクニックは非常に高いのに突破するべき時と相手のアプローチが間に合う時のボールコントロール(日本で言うトラップ)がどちらも自身が止めやすいところになっており、相手の状況に合わせたボールコントロール(トラップ)になっていないと私は感じています。
この違いを見て将来的にどちらが成長するのかと考えると、私はスペインだと感じました。
もちろん日本のサッカーの育成がおかしいと批判するつもりもありません。
ジャパンズウェイという言葉が出てきましたし、それらを突き詰めていくと日本のサッカーの礎となってきますので、指導者が最善と思う指導を選択し、選手たちを導いていけばいいと思っています。
スペインは、そもそもピッチを右から左まで全部使いますし、奥行きも深いので、速いパスじゃないと届かないのもあります。
ほとんどの育成年代のチームが、サリーダデバロンとプログレシオン時のボールラインの両サイドはサイドラインを踏むくらい広がっています。右サイドにボールがある時も左サイドは、SBかSMFのどちらかはサイドレーンに最低でもいますし、サイドラインを踏んでいることが多いです。
日本のように右にボールが移動したから、ディフェンスとオフェンスが両方ボールによることはほとんどないです。
立ち位置を広くとり奥行を作ると、ディフェンスのラインの間やライン間の距離が広がるのを知っているからです。
スペインのサリーダデバロンとプログレシオンで相手のブロックを簡単に崩すのは、立ち位置とこのパススピードがあって初めて成り立ちます。