アフターやシャツを引っ張る行為について私見を書いていこうと思います。
集団の目的とその違い
前提として理解したいのは、全国大会の賛否の記事にも書きましたが、生涯スポーツとして楽しむサッカーと競技スポーツとして競うサッカーがあります。
言うまでもなく、生涯サッカーとして楽しむサッカーには、反則行為を行うことは、楽しさを失くす行為になりますので、フェアプレーを心がけるべきと考えます。
しかし、容認される事は無いですが、競技として考えたときには、その反則行為は、プレーの1つとして捉えるべきと考えています。
競技規則には、反則行為を行った時の罰則があり、反則行為を行った選手、チームは、規則に則り罰を受けます。それを覚悟の上でやってくるプレーがあると言うことは、理解をしなければならないのが現状です。ルールを最大限活用する選手は多数います。
特に海外を視野にいれている選手は、アフターやシャツを引っ張られることは当たり前にあるので、それを念頭に置いたプレーが求められます。
プロになってから学べば良いと言う意見もあると思いますが、大人になってからでは遅いのです。これについては、長くなるのでまた別記事を書こうと思います。
戦術的ファールの判断基準と理解
戦術的ファールを行うのは判断基準があり、何でもかんでもシャツを引っ張るわけでもないし、アフターを行うわけでもありません。
その辺も言語化されており、個人戦術のマークに内包されているアプローチには段階があり、戦術的ファールを行わないと止められない基準があります。
そして、その戦術的ファールも段階があります。
競技スポーツの選手として必要なのは、カードや出場停止、相手のフリーキックなどの罰を受けても止めるべき時を理解すること。
それを行う判断力と技術は持っておくことです。やるやらないは別として。
やれないのと理解してその技術を持っているけどやらないのとでは、選手の価値が違います。
やれない選手は、そのプレーに対応できませんが、そういう行為をされる環境にある選手は対応できるようになります。
欧州5大リーグの選手は、間違いなく躊躇わずにやりますので、海外を目指している選手がいれば、理解はしておきましょう。
国際試合での戦術的ファール
日本代表でもシャツを引っ張らずに負けた試合もあります。正々堂々として良いと思いますが、自分を犠牲にしてでもチームを救わなかった選手という側面もあります。
オリンピック予選でホスト国だったから良かったですが、ホスト国でなかったら出れなくなった可能性もありました。
逆にスペインは、オリンピック本戦の日本戦で、抜け出された場面でシャツを盛大に引っ張りカードを貰いましたが、入ったかもしれない1点を阻止し、日本に勝ちました。その選手の行為は反則行為なので、イエローカードの罰則を貰いましたが、チームは救われました。
それで勝ってどうなんだって言われるかもしれませんが、少なくとも海外はそう思ってないので、世界と闘おうと思うと自国はクリーンに闘いながらもそういう行為に対応できる力は必要だと思いますね。
やられる方もその判断基準を元にプレーし、アフターやホールド、シャツを引っ張られる状況で、やられない技術を持つべきです。
スペインの選手は、掴みに行っても掴めなかったり、振りほどかれたり、押されてもその力を利用されたりとそういう技術が高いです。
後ろからのアフターを知らずに受ける選手と知ってて受ける選手は、怪我の度合いも違います。
海外での経験とサポートの立ち位置
息子も小学4年生のカタルーニャ遠征時にこぼれ球を拾って前進する時に後ろからひっかけられたりもしました。
もちろん中学1年生の留学中もあったようです。
「あっちの選手は、止まってくれないし、削るとかいうレベルじゃないくらいやってくるし、ボールを止めるとマジ危ない。」と言ってました。
日本に帰ってきて、J下部や強豪高校の2年生(2つ上)ともゲームをやり、息子が、上のカテゴリでも問題なくプレーできていたと書きましたが、相手のアプローチがギリギリ届かないのと、手が届かないプレーをしているからだと思います。
そういう立ち位置の技術だったり、コントロールだったりが、スペインでは必要だったから磨かれたのだと思います。
環境の違い
ただ日本で戦術的ファールを経験していくのは難しい現状もあります。
まず、環境として天然芝や人工芝で行う練習や試合が少ないということ、力を受け流して受け身をとりながら転んでもクレーだと怪我をすることもあります。
また、日本の育成選手は、サッカーばかりしていることが多く、上半身が上手く使えなくて、危険なこけ方や不慣れな上半身の使い方になってしまい、怪我に繫がりやすかったりします。
そして、現場や指導者の怪我への対応意識と知識、技術水準があまり高く無いこと。
スペインの育成年代の試合は、救急車が待機していたりもします。そして、指導者も怪我に対して過剰なほど対応、処置をします。
つまり、怪我をするスポーツであるという前提でサッカーをし、それらを組織的に対応できる体制を作っています。
練習中に膝を擦りむいただけでも、しっかりと処置して、その後は、安静にさせて、サッカーはやらせません。
僕が見た中で、日本でよく見る「それくらいは大丈夫」なんていう事はなかったですね。
まとめ
戦術的ファールは、誉められた行為ではないのは、世界共通です。容認する事は無いです。
その戦術的ファールを裁く審判は、その反則行為を基準に則り、しっかりと裁くことが大切です。注意すべきですし、危険行為や過剰な力、決定機の阻止などならカードは当然出すべきです。育成年代の審判は、笛を吹いたりカードを出すのを躊躇っている方もおられるので、自信を持ってジャッジして欲しいです。
選手は、試合で罰則を覚悟したプレーもある事や、そのプレーに対応する技術が必要である事を理解しておく事。
指導者は、そうした罰則行為に対する回避行動やその行為を利用する技術を持たせる事が必要。
競技スポーツとしてのサッカーの場合、僕はそう考えています。
推奨はしないです。ですが、それに対応する技術を持たせるためには、経験してもらうしか無いです。
もちろんこれは現時点での私の考えであり、色々な話を聞いて考えを改めることもあるとは思いますが、今はそんな感じですね。
ご意見などありましたら、コメント、もしくはメールにてご連絡下さい。
色んなことをご教示頂けるとありがたいです。
生涯スポーツでは一切必要ないと思ってます。