Crecer FA

岡山県瀬戸内市で活動しているスペインメソッドサッカースクール

サッカーや運動中の水分補給の重要性と効果的な方法

夏や高温下での運動には、水分補給がとても重要になります。

本記事では、体水分率や損失の割合、水分吸収量と時間、水分の種類と選択、そして効果的な水分補給方法について解説していきます。

適切な水分補給とは、どうすれば良いのか?を知り、トレーニングパフォーマンスの維持や健康維持に役立ててもらえたらと思います。

 

 

 

 

体水分率について

体水分とは、体に存在する水成分を表しています。

体水分の役割としては、酸素や栄養の運搬、老廃物の排出、発汗による体温調節など多岐にわたります。

体重に対する体水分量の割合を体水分率と言います。

体水分率は、年齢、性別、環境、運動頻度によって個人差があります。

 

  • 新生児 約75%
  • 子供  約70%
  • 成人  約60%
  • 高齢者 約50%

 

が目安となり、例えば、成人60kgの体水分は、一般的に36kgとなります。

 

 

 

体水分の損失(体重を基準にした損失率)

体水分の損失率には、さまざまな段階があります。

 

【水分の損失段階】
  1. 約1%の水分損失   <喉の渇きを感じる。体温が約0.3%上昇する>
  2. 約2%の水分損失   <強い喉の渇きを感じる(すでに脱水気味)>
  3. 約3%の水分損失   <体温機能調節の障害、食欲不振>
  4. 約4%の水分損失   <倦怠感、イライラ、尿量が濃くなり量が減少>
  5. 約5%の水分損失   <熱による吐き気や腹痛が生じる>
  6. 約10%の水分損失 <痙攣、熱中症、眩暈>
  7. 約20%の水分損失 <生命活動の停止>

(例)成人男性60kgの2%の水分損失は1.2kg

 

運動中の損失ボーダーラインとして2%以上の体水分損失は、集中力を欠き、運動能力も低下します。

それ以上の発汗で3%まで到達すると体温調節が上手くいかなくなります。

のどが乾くとすでに1%の体水分の損失をしていますので、注意が必要です。

 

性別や年齢などで個人差はありますが、夏の炎天下で通常歩行を1時間すると約1000mℓの水分損失します

外気温26℃でのサッカーを1.5時間すると約2000mℓの水分損失があると言われています。

選手、保護者、指導者は、体水分量をしっかりと意識して管理していきましょう。

 

 

 

水分を吸収できる量と時間

身体が一度の給水で吸収できる量は200~250mℓです。

小腸が1時間あたりで水分を給水できる量約800mℓ(1分辺り約13mℓ)と言われています。

 

これだけを見ると15分に1回200mℓを摂取するのが効率が良いと言えます。

 

人が水分を摂取する時には、一口が約20mℓとされていて、口に多く含んでも1回に流し込む量は調整されます。

つまり、10回ごくごく飲むと約200mℓですね。

 

一度の休憩で多くの水分を摂取するとお腹に水が溜まり、パフォーマンスに影響しますので、多くても5回ぐらいの100mℓくらいが良いでしょう。

そう思うと6~7分ごとに給水した方が、身体に優しいと感じますね。

 

 

水分を身体が吸収する時間

水分は摂取してから約30分で吸収され始めます。

 

 

 

 

水分の種類と選択

汗には水分だけでなく塩分等も含まれているため、「どれくらいの量を飲むのか」だけでなく、「何を摂取するのか」も考えていきましょう。

 

塩分だけでなく、カリウムやカルシウム等のミネラルも補給することが大切となります。

手軽に入手できるスポーツドリンクなどはこれらの要素をバランスよく含んでおり、効果的な水分補給に役立ちます。

ただし糖の摂り過ぎは、消化活動に負担がかかるため調整が必要となります。

 

 

余談

余談ではありますが、糖にも種類があり、ブドウ糖、果糖、ショ糖とバランス良いものが一番良いです。

 

何故なら、糖の種類が違うと消化の時間がズレるからです。

3段階にわたって消化が進み、3段階に分けてエネルギーを得られます。

通常よりもエネルギーをゆっくり長く補充することができますので、体への負担が少なくなります。

一般的な炭水化物の量としては、100mlあたりの含有量が6g前後のものが良いとされています。

 

バナナが良いとされるのは、それらの糖がバランスよく入っていて、吸収効率が良く継続してエネルギーを補充できるからです。

 

 

 

効果的な水分補給方法

■高温下での長時間歩行をした場合(登り坂(2%)を時速6kmで50分歩いて10分休むことを繰り返したもの)

 

  • 【Aグループ】
    水をまったく飲まない。
    ⇒約3時間後には体温(直腸温)が38.8度を超え、疲労が激しく歩行困難になる。

 

  • 【Bグループ】
    水を自由に飲む
    ⇒体温の上昇も緩やかで疲労も少ない。

 

  • 【Cグループ】
    体重をそのつど測り、発汗した量だけ水を飲む。
    ⇒Bグループよりも体温上昇が緩やかで疲労度も極めて少ない。

 

 

この研究は「水分補給の重要性」「体温上昇と疲労の関係性」を示すだけではなく、「喉の渇きを感じる頻度以上に積極的に水分補給をした方がよい」ということも示しています。

 

発汗によって失う水分の量は、個人の体質や体格、運動への適応度、運動する環境(例:気温、湿度)、運動の強度、運動時の服装等によって様々です。

 

したがって「これくらい補給すれば良い」という水分の量はなく、状況に応じて必要な水分量を個別に把握する方法を知っておくことが、より良いパフォーマンスの発揮につながります。

 

 

この研究から水分補給のポイントとして

 

  • 長時間の運動や高温下での活動時には、適度な水分摂取が重要。
  • 喉の渇きを感じる前に積極的に水分補給を行うことが大切。
  • 個人の体質や運動状況に応じて、適切な水分摂取量を把握すること。
  • 水分補給は定期的に行い、その都度、適度な量を摂取することが効果的。

 

 

参考サイト:https://www.nihon-trim.co.jp/media/1772/

 

 

 

 

アスリートの効率の良い水分補給方法

読んでいて気付いた方もいらっしゃると思いますが、夏の炎天下で1時間通常歩行して1000mℓの水分損失があるのに、小腸が1時間で吸収できるのが800mℓしかできないという点です。

 

アスリートが運動すると圧倒的に水分の損失が多いです。

 

また、喉が渇いてから飲んでも30分後にしか吸収されないということもポイントとなります。

 

 

これらの事を考慮すると、トレーニングに臨む時には、以下ポイントをを意識していきましょう。

 

  • 運動の30分前から給水を開始することで予め損失分を補うことができます。
  • 運動開始してからもこまめに水分を取り、喉が渇く前に3~5口ずつ水分を補給するのが望ましい。15分で飲水するなら10口(約200mℓ)
  • それでも損失分は補えないので、運動終了後もこまめに水分をとることが大切です。

 

ただし一番効率が良いのは、損失した水分量を飲水で同じ量を補うのが一番体に優しく、パフォーマンスの低下を防ぐことができます。

 

 

 

まとめ

夏場に限らず、サッカーや運動中の正しい水分補給は、健康維持やパフォーマンス維持にとても大切です。

 

適切な体水分率の維持損失率の把握効果的な水分補給の実践は、アスリートにとって必要不可欠な技術とも言えます。

 

これらを意識し、実践することで、疲労を軽減し、体温調節をサポートし、パフォーマンスを最大限に引き出すことができます。

 

 

体水分率や損失の割合、水分吸収量と時間、水分の種類と選択、そして効果的な水分補給方法について順を追って書いていきました。

 

知識を身に付けて、それを実践することで、自身の体質や運動状況に最適な水分補給プランを立てることができます。

 

指導者は、この知識を基に運動強度を考えることで、トレーニング時間と休憩時間(水分補給時間)のバランスを整えることができます。

 

状況に合わせて、適切な水分補給を行い、安全かつ効果的な運動を楽しんでください。