フィジカルトレーニングの種類は、大きく分けて3つあります。
今回はその中でもストレッチについて解説していきたいと思います。
ストレッチの種類
動きのあるストレッチ
バリスティックストレッチ
各個人の関節可動域を超えて、リズミカルに反動をつけて筋肉を伸ばす方法。現在では、可動域以上に反動を加えて伸ばすので、怪我のリスクもあり推奨されていない。
ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)
各個人の関節可動域内で、体をゆっくり大きく動かしたり優しく揺すったりして筋を緩めるストレッチです。
アクティブストレッチ
ゆったりとした動きや骨格筋の収縮と弛緩で筋肉に刺激を与えて、活性化させるストレッチです
動きのないストレッチ
パッシブストレッチ
各個人の筋肉の柔軟性、関節可動域を超えて、10秒以上一定の負荷で筋肉を伸ばすストレッチ。パートナーや器具などを使う場合が多い。痛気持ち良い範囲内で伸ばすこと。
スタティックストレッチ(静的ストレッチ)
各個人の筋肉の柔軟性、関節可動域内でを10秒以上一定の負荷で伸ばすストレッチ。気持ちのいい範囲でリラックスして行うこと。
動きのあるストレッチの役割
体を動かしながら筋肉の収縮と弛緩を繰り返すことで血流や筋温の上昇を促進させます。そして、「相反抑制」により拮抗筋の弛緩効果を利用し、筋肉を緩めやすくします。
6秒以内の伸長は、筋出力を上げる効果があるため、アクティブストレッチで静的ストレッチを取り入れる場合は、6秒以内の伸長にとどめる必要がある。
メリット
筋肉の弛緩により、関節の可動範囲が広がる。
血流や筋温の上昇、また、6秒以内の伸長は筋出力を向上させるためパフォーマンス向上につながる。
デメリット
柔軟性が高まるわけではない。
動きのないストレッチの役割
動きのないパッシブストレッチやスタティックストレッチは、柔軟性をつけるために適しているストレッチとなります。
柔軟性をつけるためには筋紡錘を感度を低下させることと筋膜を緩めることが必要です。
筋紡錘とは?
まず、この筋紡錘は、筋肉の伸長収縮状態を感知し脳に伝える役目を持っています。
筋肉が引き延ばされると「これ以上伸ばすと怪我をする」と思えば、筋肉を収縮させます。
このことを伸張反射といいます。
つまり、この筋紡錘の感度を下げてあげれば、伸張反射が鈍化し、柔軟性をつけることができるといえます。
この筋紡錘は、静的ストレッチで10秒以上筋肉を伸ばすと鈍化します。
筋紡錘を鈍化させるデメリット
筋紡錘の鈍化を進めると柔軟性を得ることができますが、実は収縮側の反応も鈍化しますので、筋出力の低下を引き起こし、プレーパフォーマンスの低下を引き起こします。
筋膜とは?
筋膜とは、筋肉を覆っている膜のことです。
- 筋内膜・・・個々の筋繊維を包んでいる。
- 筋周膜・・・筋繊維を束ねている。
- 筋上膜・・・筋繊維の束を包んでいる。
まず、この3種類に分かれていて、筋上膜の段階で、各筋肉の名称がついていきます。
さらにそれらを束ねる深筋膜(~~筋群と呼ばれる名称がつく)があり、最外層に浅筋膜が覆っています。
筋膜の役割
包装
筋肉の構造区画と身体全体を結びつけて安定化させています。
保護
筋肉や器官を覆い保護しています。
支持
アライメント(骨の形状配列)の維持、筋膜の緊張バランスによる形状の維持。
通路
血管、リンパ管への通路を作り、筋肉内の老廃物を排出しています
筋膜の主な成分と形状
筋膜は主にコラーゲンとエラスチンできています。
エラスチンは伸縮性がありますが、コラーゲンは、弾力があり伸縮性はないです。
しかし、コラーゲンは波状構造で連なっており、エラスチンとともに網目状に形成されており、伸縮できるようになっています。
形状記憶する筋膜
筋膜は正常なバランスから生活習慣や怪我などにより、形状が変化していきます。
生活習慣による凝りだったり猫背やストレートネック、怪我による繊維構造の歪みや捻じれによるねん挫癖などがあげられます。
筋膜を緩めるためには
筋膜リリースにより、癒着をはがしたり、筋膜構造の歪みを取り除いたりすることが大切です。
また、コラーゲンを引き延ばすためには、90秒以上の伸長が必要となります。
まとめ
動きのあるストレッチは、トレーニングや練習、試合前に筋温の上昇や筋出力向上を目的として取り入れるのが良いといえます。
動きのないストレッチは、柔軟性を高めるために適しているといえ、リラックス効果もあるので、運動後や風呂上がり、寝る前に行うのが良いでしょう。
筋膜は全身をつなげているものなので、トレーニングの原理原則を元にバランスを整えることが大切です。
どこかが柔らかくて、どこかが固いというのはアライメントが崩れる原因にもなります。
怪我や生活習慣でバランスが崩れているときは、筋膜リリースや整体でしっかりとバランスを整えてあげましょう。