有酸素運動とは
酸素を必要とするエネルギー代謝。主に脂肪酸と糖をエネルギー源としている運動のことで、乳酸生閾値(ミトコンドリアの反応可能量)内での運動強度のことを有酸素運動という。
サッカー選手に有酸素運動は必要か?
サッカーは、ゲーム中にスプリントとジョギング、ウォーキングが入り乱れ、その中には相手と力と力で押し合うようなような場面もあり、エネルギーの代謝が活発であることがわかる。
好気的代謝では、主に脂肪酸と糖でエネルギーを生産しますが、ミトコンドリアの反応可能量を超えると嫌気的代謝でまかないます。
筋肉中の糖を解糖し終えると、反応可能量を超えたピルビン酸が乳酸となり、再度ミトコンドリア内で酸素を消費し、エネルギーへと作り変えられます。
3つの有酸素運動強度とそれぞれの主な効果
AEトレーニング(エアロビック)
強度
脈拍110以下(主観強度:楽)
効果
筋温の上昇、筋出力の向上、リカバリー、血中の疲労物質の除去、脈拍を緩やかに下げる
適しているトレーニング
アップ、リカバリー、クールダウン、コーディネーショントレーニング、ライフキネティック、ウォーキング、ジョギング、ダイナミックストレッチ、アクティブストレッチ等
BAトレーニング(ベーシック)
強度
脈拍110~140(主観強度:少しきつい)
効果
乳酸生閾値内ギリギリの強度でのトレーニング、技術の習得、フォームの改善、問題点の改善に最適、レスト時間は10秒から30秒程度
適しているトレーニング
アナリティックトレーニング、低強度のグローバルトレーニング、インターバルトレーニング、コーディネーショントレーニング、ライフキネティック
目安時間
プレー:2分~4分×3~4本(2~4セット)
レスト:10秒から30秒
セットレスト:1~2分
有酸素運動のメリットデメリット
メリット
有酸素運動は、脂肪酸や糖からエネルギーを生産し、主に遅筋を使用するので、身体へのダメージは少なく、継続してトレーニングをすることができます。
心肺機能への負荷、毛細血管やミトコンドリア量を改善できることから持久力向上に大きく貢献してくれます。
緩やかに心拍を上げ筋温を上昇させることで、メイントレーニングのパフォーマンスレベルを上げることができます。
その後、エアロビックトレーニングで高く上がった脈拍をゆっくりと下げると血流を維持できます。ゆっくりと心拍を落ち着かせることで、疲労物質は、血流によって肝臓へと押し流されリカバリーすることがで、更に負荷の高いトレーニングに移行することができます。
同じ原理で、同様にクールダウンすることで、次の日への疲労を少しでも多く除去することができます。
エアロビック、ベーシック、エンデュランスと強度の設定を理解することでトレーニングのパフォーマンスも上がりますし、トレーニング時間やトレーニング回数も改善できます。
デメリット
有酸素運動では、速筋を主に使う場面が少なく、身体能力を伸ばすには適していません。
まとめ
有酸素運動は、一般の方もアスリートの方もほとんどのトレーニング時間で必要とする運動です。
サッカーにフォーカスしてみると、有酸素運動レベル内で全てトレーニングメニューを組み、技術や戦術の習得、フォームの改善、問題点の修正、心肺機能の向上をしても良いくらいです。
しかし、身体機能や身体能力を高めようと思うと、有酸素運動だけでは足りないので、速筋を使う無酸素運動やストレッチなどのフィジカルトレーニングも組み込む必要があります。
パフォーマンスや疲労、ダメージの管理は、有酸素運動で細かく調整していくことが大切といえます。
今回、プレー時間やレスト、セットレストなどの目安となる時間を書きましたが、トレーニングの内容によっては、もっとプレー時間が長かったりレスト時間を長めに取ったりするものもあります。
目的のトレーニングにあったプレー時間とレスト時間を設定することが大切です。