今回は、CrecerFAで実際に行っているトレーニングを一つ紹介いたします。
トレーニング概要
3対3+2レシーブサーバー
方式:ポゼッション(攻撃方向あり)
広さ:横約10~15m、縦約15~20m
目的:サーバーからレシーバーへボールを運ぶ
課題:ハーフラインの突破(ラインを突破したらレシーバーに渡せる)
制限:AZ(アタッキングゾーン)には、FP(フィールドプレーヤー)は2人まで
メインプレーシチュエーション
サリーダデバロン
サブプレーシチュエーション
プログレシオン
主に習得できる個人戦術とサポート
アンプリトゥ(横距離)
プロフンディダ(縦距離→前進、継続のサポート)
マルカへ(マーク)
コベルトゥーラ(カバー)
ペルムータ(担当替え)
緊急時のサポート(デスマルケ)
3人目のサポート
※やり方によっては他のデスマルケも習得できる。
個人戦術とは?
個人戦術とは、ボールを持っていない選手が、直接関係する1対1、2対1、1対2の中で行う解決行動の判断です。
つまり、3対3+2レシーブサーバーのこのトレーニングは、ボールを含めた2対1が2つ(ボールを含めなければ1対1が2つになる)と、セカンドラインのボールを含めない1対1が1つとなります。
まずは、これを理解しておかなければ、試合で使うことはできません。
ラインの理解
ディフェンスラインは、ファーストラインとセカンドラインの2本あります。
これも重要なことなので理解しておきましょう。
更に個人戦術のラインを細かく分けると
縦ラインと横ラインを意識することとなります。
個人戦術アクションの判断基準
アンプリトゥ
ボールホルダーの状況が安定時の場合、担当マークを基点にボールから離れる方向へ横距離を取る。
ボールホルダーの状況が緊急時の場合、担当マークを基点にボール方向へ横距離をとる。
プロフンディダ
アンプリトゥが十分な場合は、担当マークを基点に前進方向へ縦距離を取る(前進のサポート※位置的優位)。
アンプリトゥが不十分な場合は、担当マークから継続方向へ縦距離を取る(継続のサポート)。
マルカへ(マーク)
マークの段階は、4つ
準備→アプローチ→ディレイ→ボールを奪う
アプローチの段階は3つ
インターセプト(インテルセプタシオン、アンティシパシオン)→フィジカルコンタクト→戦術的ファール
それぞれに判断基準があります。
準備
ボールを含めた2対1だけを考えるとトリアングロディフェンシーバ(守備の三角形)でボールと担当のマークを両方監視できる体の向き。
ドリブルで前進されてもパスを出されても両方対応できる位置。
ラインのバランス
ここに集団プレー戦術のラインのバランスが入ってくると、ボールを含めた2対1が2つありますので、ピッチの右から左まで(担当ゾーン)を2人で守ることになります。
そして、更に集団プレー戦術のライン間のバランスが入ってくると、前後のライン間のバランスを保つ必要性が出てきますので、ディフェンスのファーストラインは、背後の確認が必要になってきます。
つまりボールと担当のマークは、体の向きで監視し、背後の確認は首振りで認知します。
アプローチ
ボールがサイドに出ると担当のマークは、アプローチに行き、いち早く前進を止めます。
この時アプローチに行った選手は、ゾーンを守れない為、もう1人のファーストラインが、ゾーンを全て担当することになります。
ボールを含めない1対2
ここで、アプローチに行っていないファーストラインの選手は、ボールを含めない1対2が発生します。
担当のマークがボールを持っていないけれど、自分の担当なので監視しなければなりません。
この場合、1パスアウェイに対して体の向きでの監視、2パスアウェイに対して首振りでの背後の確認で監視します。
そして、2パスアウェイへのパスコースを切る事と、1パスアウェイに対してアプローチをかけることの準備をします。
また、セカンドラインは、ドリブルで突破された時のカバーに入ることになります。
ペルムータ
ファーストラインが突破された場合、カバーがボールに対していち早く前進を止めるためにアプローチをかけに行きます。
このカバーがアプローチをかけに行くということは、そのカバーが監視していたゾーンとマークが監視されなくなります。
ここで出てくるのがペルムータ(担当替え)です。
ボールに関与していなかったファーストラインのディフェンスは、フリーマンと逆サイドの自分のマークを捨てて、1パスアウェイで一番緊急性の高い攻撃側のトップに対してマークに行きます。
担当マークが外れた攻撃側の逆サイドへのパスコースは、ボールにアプローチして抜かれたディフェンスが担当し、いち早く消しに来ます。
これらの一連の動作は、形ではなく、それぞれのマーク(担当)を整理整頓し、カバーとペルムータの判断基準から行われる個人戦術となります。
つまり、他の方法でラインを突破されても、担当と監視の状態をしっかりと共有していれば、誰がアプローチで誰がカバーで誰がペルムータか個人で判断できるようになります。
そして、これらの個人戦術を上手く機能させるのが集団プレー戦術になります。
今回、紹介したのは、ラインのバランスとライン間のバランスでしたが、他にもサリーダデバロンとプログレシオンには3つあります。
そして、今回紹介しませんでしたが、ファーストラインが上手くボールを追い込んだ時には、緊急時のサポートと3人目のサポートが出てきます。
サーバーの配球
フリーマンは、常に2人のディフェンスを意識し、ラインのバランスが崩れたところへ配球することを心掛ける。
上のgif画は簡単なケースですが、常に右と左を結んだ体の向きを作り(基点からポジショニングもあります)、相手のバランスを視て配球していきます。
トレーニングの時には、味方がそこにいるかどうかは関係なく配球してもらいます。
配球した時にそこに味方がいなかった場合は、サポートができていなということになります。
そうすることで、ボールを持っていない選手は、自身のサポート位置がズレていることに気づくことができます。
サーバーのパスの強弱
継続のサポートは、相手のラインを崩す狙いがあるため、相手を食いつかせるような緩めのパスを使う。
逆にラインが崩れて、前進のサポート(位置的優位)で突破できる時は、速いパスを使う。
まとめ
個人戦術や集団プレー戦術の判断基準を理解し、ボールを持っていない時に認知、判断をすることで、適切な解決行動を選択することができます。
また、このトレーニングのモデルケースは、試合の中の一部でもあります。
他にも様々な環境づくりをし、違うモデルケースを作成することもできます。
そして、個人戦術同士のトレーニングになると、その解決行動を間に合わせる。間に合わせない。のやり合いとなり、プレースピードやパススピードが必要になります。
パススピードが速くなれば、コントロールも必要になります。
しかも、ただ止めるだけではなくオリエンタードも含めてのコントロールになります。
そして、忘れていはいけないのは、育成年代なので、技術的なミスはどうしても出ます。
特にパススピードを速くすると精度は格段に落ちます。
そこを注意すると速いパスをつける癖がつかなくなりますので、その辺はしっかりとやろうとすることを理解してあげることと技術力を上げる意識が高まるような声掛けをすることが大切です。
そして、ボールを受ける側は、自分の止めやすいところへボールを置くのではなく、どんなボールが来ても、置くべきところへ、ボールを置く技術を身に着ける必要があります。
ですので、どちらかというと、止めやすいスピードで正確なパスは必要ないです。
入れるべきタイミングで、ズレても最大限のパススピードでボールを付けてほしい。
そのズレた分は受け手がどうにかすべきだと思っています。
その技術は、サッカーにおいてとても必要な技術だと思います。
全体的な説明を難しそうに書きましたが、慣れてしまえば、とても簡単なトレーニングです。
もちろん、これをするにあたり、前段階のトレーニングをして、意識することをハッキリさせないと意味のないものになりますけどね(笑)
慣れたら、全部無意識でできるようになると思います。