褒めて伸ばす≠叱らない
褒めて伸ばすとか、自分は褒められて伸びるタイプとか聞きます。
これは、一つの育成手段として、とても大切なことです。
ですが、子供が間違った行動をとった時に、「良い子は、そんなことをしてはいけません。」と否定はすれども、叱ってあげる事をしていない指導者や保護者が多いのは、とても問題です。
育成において叱るという行為は、人格を形成するうえで褒めることと同じくらい大切なことです。
怒るのではなく叱る
怒るのは、不満・不快なことがあって、我慢できない気持ちを表す。自分の感情を相手にぶつける行為です。
怒る(おこる)の意味・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書
叱るのは、相手の非を指摘、説明し、厳しく注意を与える意。相手に伝える行為です。
叱る(しかる)の類語・言い換え - 類語辞書 - goo辞書
「叱るは相手、怒るは自分」
怒るというのは、「僕は怒っているから、あなたが察して言うことを聞いて下さい。」ということで、主語が自分で、相手を制限させる行為です。相手に対して愛情がある行いとは言えません。
叱るというのは、「あなたの行いは、こうすると良くなりますよ」ということで、主語が相手になり、相手に理解を促す行為で、相手を思っての行いです。
特に子供に説明をする事、子供が理解をするかどうかがとても大切になります。
子供が間違った行動をした時は、是非、叱ってあげて下さい。
僕も間違えて、息子を怒ってしまっていると気づくときがあります。
でも、やはりこれは僕の間違いだと気づいた時は、素直に謝るようにしています。
子供の世界を理解
子供の世界では、善悪の判断基準がないです。何故なら、これから覚えていくものですから。
叱ることで、その判断基準を覚えていきますが、叱る前に実はやるべきことがあります。
それは子供の世界を理解することです。
「何が原因だったのか?」「どうしてそれを行ったのか?」
子供に質問をして、原因や状況を理解することで、𠮟るべき(是正すべき)ところが分かってきます。
もちろん脳科学的にも、脳活動を意識で拾えず「ついやってしまった」ということもあります。
しっかりと原因と状況を聞き、子供に善悪の判断基準を質問しながら是正することで、子供は、適切な善悪を理解することができます。
善悪の判断基準を子供が理解できれば、その子供にとって一つの人格が形成されます。
何を伝えたかではなく、その言葉で子供が何をイメージしたか
メンタルマネジメントの観点からも脳科学の脳活動の観点からも「ついやってしまった」というのは、よくあります。
調子に乗って、暴言を吐いてしまったとか。
その場合、どうしてそれを言ってしまったのか?
理解することが大切だと前項で話しました。
暴言について「それは言って良い言葉?」と聞くと、だいたいの子供は「ダメな言葉」と返してきます。もちろん「分からない」と答える子供もいるとは思いますが。
「そうだね。次からは言わないようにしよう」
では、叱ったことにはなりません。
子供は、空気を読みますので、今はこう言うべきと大人に合わせて言ってる時もあります。
「どうしてダメだと思う?」と聞いてあげて下さい。
そこで適切な善悪の判断基準ができたなら、叱ることに成功しています。
ないのであれば、基準を作っていってあげることが大切です。
まずは、主語を自分に置き換えて「暴言を言われたらどう?」と聞いてあげます。
「嫌」という子供もいれば、「別に何とも思わない」という子供もいます。
そして、第2者を主語にして子供に「僕(指導者or保護者)は、暴言を言われるととても悲しいし、辛い」ということを伝えます。
次に第3者に置き換えて、「もしかしたら、彼も暴言を言われたら悲しい思いや辛い思いをするかもしれない。」
と伝えます。
ここに第1者、第2者、第3者の感覚や考え方のズレがある事も出てきます。
自分が思っていることと相手が思っていることとの違いを気づかせること。
「相手の立場や気持ちを理解しようとする心」が大切です。
これらのことは、何を伝えたかではなく。
子供にどんなイメージで伝わったか?ということが大切です。
つまり、複数の子供に同じことを伝えても、受け取る子供がそれぞれ違うイメージを持ってしまうと、違うことを伝えているのと同じなのです。
その子供に合った伝え方を考える必要があります。
僕たち保護者や指導者は、子供の脳に良いイメージを作ってあげるようにしましょう。
褒めると叱るの比率
褒めるのと叱るのとでは、比率は褒める方が多くなります。
何故なら、叱った後に変化が見られたら、見逃さず、是正できたことを褒めてあげるべきだからです。
つまり、叱った後は、褒めることが出てくるので、自然と褒める方が多くなります。
叱る方が多いのは、子供が理解をしていない事が原因だと思いますので、叱り方を見直してみましょう。
結果を褒める弊害
子供を褒めることを研究した論文が
1998年のColumbia University(コロンビア大学)Claudia M. Mueller(クラウディア・ミューラー) and Carol S. Dweck(キャロル・デュエック)により発表されています。
論文:Praise for Intelligence Can Undermine Children's Motivation and Performance
これを簡単に画像付きで要約してくれたサイトが
「「子どもは褒めて育てる」を実践する人の誤解 | 子育て | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース」
褒めるところの重要性
結論をまとめて言うと、
結果の点数や才能を褒めると困難にぶつかった時にあきらめてしまうようになり、最終的には、成長しなくなってきます。
努力した事、考えて工夫した事、意識して良い変化をもたらせた事などを、褒めることによって子供の挑戦する気持ちが育ちます。
メンタルマネジメントにある補強の原則も同じことを言っています。
補強の原則とは「見れば見るほど、聞けば聞くほど、やればやるほど、そのことについて補強されていく。」という原則です。
努力したことを褒めることによって、努力する気持ちを補強できますし、失敗したとしても挑戦したことを褒めることによって、挑戦する気持ちを補強することができます。
結果や才能を補強していくと、結果が出なかった時、壁にぶち当たった時に「自分に才能がなかったからだ」
という気持ちになり、立て直すことができなくなります。
このことを知っているだけでも子供の育成に大いに役立つと思います。