Crecer FA

岡山県瀬戸内市で活動しているスペインメソッドサッカースクール

U24日本代表 対 U24スペイン代表 感想

日本代表とスペインのマッチアップは

f:id:crecerfa:20210804113432p:plain

日本4-2-3-1

スペイン4-1-2-3

 

今回の感想は、クレセールが扱っている判断基準や言葉を元に書いていきます。

まずは、スタメン組で戦っていたところの攻守の4局面について。

 

攻撃の場面

組織攻撃

組織攻撃自体をする時間が少なかったです。

日本の狙いは、ポジティブトランジションでしたので、攻守が切り替わった時にいち早く前線のキーマンへとボールを送り攻撃を完結させようとしていたこととスペインのネガティブトランジションが早くボールを回収されていたので、仕方がないことではあります。

ただ、全くなかったかというとそうではなくフエゴディレクトを主に使っていましたが、ビルドアップも試みようとしていました。

日本のビルドアップのことをサリーダデバロンと言わないのは、その前進方法に大きな違いがあり、その辺がビルドアップが上手くいかない原因でもありました。

吉田選手は、サリーダデバロンからの前進を試みていましたが、その他の選手の攻撃のアクションであるアンプリトゥやプロフンディダの取り方、デスマルケの判断ができていなかった印象です。

ただそれは日本のサッカーがそういうビルドアップを推奨しているのかもしれないので難しいところですね。

日本が今のビルドアップで前進しようと思うと中盤の選手が個人技で剝がさないと難しいと思います。

話がそれましたが、今の日本がスペイン相手に組織攻撃でゴールに迫ろうとするとフエゴディレクトが一番リスクが少なく、一番効果が高かったと思います。

ですので、前線の林選手がスタメンで起用されている理由がよくわかります。

交代して入ってきた上田選手は、動き出しが良い選手ですが、スペイン戦ではビルドアップから能動的にボールを動かしてゴールに迫るような前進がなかったので、思うようにプレーできませんでしたね。

そういう意味で言うと、林選手を交代させるならば前でボールをキープできる選手の方が良かったのかもしれません。

今回のスペラールという面では久保くん選手の個人技頼みと林選手のフィジカルが大きかったと思います。

 

 

ポジティブトランジション

今回の試合で一番意識してプレーしなければならい局面ですね。

しかし、なかなか組織守備で思ったようなところでボールを奪えなかったというのが、スペインの凄さでもありました。

日本のカウンターは、前線の林選手とサイドの安全な所へサポートしてそこにボールを入れるようなオーソドックスなダイレクトカウンターと久保くん選手や堂安選手にボールを入れての段階的カウンターを意識していたように思います。

しかし、先にも書いたようにスペインの組織攻撃が上手くて、思ったような場所でボールを奪えず、スペインの技術ミスに助けられて、何とかボールを奪う場面が多かったように思います。良い態勢ではない状況でのカウンターなので少しバタついたりしていましたが、なんとかシュートまで運べた場面もありましたね。

 

守備の場面

組織守備

組織守備では、林選手が前からチェイスしていましたが、攻撃の制限をかけれていなかったがためにスペインは良い状態でサリーダデバロンでの前進を行えていました。この辺は、林選手の課題ですかね。でも、あれくらい頑張ってくれるフォワードは貴重なのでこのまま頑張ってほしいです。

ミドルラインの久保くん選手、堂安選手、旗手選手、ボランチの田中選手、遠藤選手のインテンシティはとても高く、良いアプローチをしていました。しかし、スペインのサリーダデバロンの状態が良いのでミドルラインも数的優位を作られ攻撃のオプションを抑えることができず、プログレシオンされていました。

しかし、日本がスペインの攻撃に耐えられたのは、フィナリサシオンの守備がすごかったからです。

酒井選手、吉田選手、板倉選手、中山選手のインテンシティも高くボールホルダーに対してのアプローチが素晴らしかったです。そして、ミドルラインの選手がペルムータやプレスバックをさぼらなかったので、この最終ラインで相手の攻撃を何とか防いでいましたね。吉田選手、板倉選手には何点も助けられたと思います。

もちろんキーパーの谷選手も守備面での判断は素晴らしかったです。

 

 

ネガティブトランジション

守備への切替も日本は、かなり早かったと思います。スペインのカウンターをよく防いでくれました。

 

 

選手交代について

林選手→上田選手

この辺は上でも書きましたが、能動的にボールを動かせる状態の相手ではなかったために上田選手が上手く活きてこなかったですね。また、守備面でも攻撃の制限やチェイスがなかったために後ろの負担が大きかったように思います。後々のことを考えるとここは林選手を我慢して使うか前田選手の方が良かったような気がしますね。

 

旗手選手→相馬選手

守備面での貢献が良かった旗手選手に代わって、より攻撃に貢献できる相馬選手は、メッセージとしてもバランス的にもとてもよかったように思います。

もちろん守備面でペルムータのポジショニングが中途半端だったりして、危ない場面を作る要因になっていましたが、それでも頑張って守備に戻っていたり、何より縦に運べるキーマンとしてボールを縦に運んでゴール前まで運ぶ場面を作ってくれていました。

 

堂安選手→前田選手、久保選手→三好選手

ここに関しては、分かりやすいメッセージだと思いましたが、この交代をした時点で、失点するかもしれないと思いました。おそらく三好選手のボールを引き出す力と前田選手の足の速さを活かして点を取りに行こうと思っての交代と思います。

もちろんこれに関しては、悪い発想でもないし、交代の考え方としても分かりやすく点を取ろうという意志がうかがえます。

ただし、ポジティブトランジションというのは、ボールを奪わないと発生しない局面になります。ですので、組織守備が崩れるとポジティブトランジション自体が難しくなります。そういうことを考えると既に左サイドのバランスが攻撃寄りになっているので、右サイドまで攻撃寄りになると、組織攻撃の上手いスペインには守り切れないんじゃないかと感じました。

森保監督からもカウンターを意識して送り出されたと思うんですが、前田選手はボールを奪う前から前のポジションを取ろうとしていました。予測して動くことは悪くはないですが、先に動いてそうならなかった場合のリスクは大きいです。特に相手の方が能動的にボールを動かしていましたので、しっかりと守備をして、奪った瞬間の切替行動で相手より早く動いてほしいと感じました。

ただ堂安選手も守備に忙殺されて攻撃のアクションが乏しくなっていたので交代してもよかったのかなとは思いましたが。

久保くん選手は、フィールドに残しておいた方が良かったんじゃないかと感じました。

バテて来ていましたが、ボールを持った時に質的優位をとれていたのが久保くん選手だけだったと感じたからです。あとは、守備時にスペインに攻撃の制限をかけていたのも久保くん選手だったからです。おそらく後ろの選手もアプローチに行く相手が分かりやすくなっていたんじゃないかと思います。

ですので、あの時の交代は、堂安選手→橋岡選手で守備のバランスを整えながらポジティブトランジションの場面を作ることと最悪PKに持っていくプランでも良かった気がしました。また、橋岡選手を右サイドバックに入れて酒井選手をハーフに挙げても面白かったと思います。

 

田中選手→橋岡選手

この時間帯では、遅い交代な気がしますが、吉田選手を前に上げたい意図なのかな?と思いました。が、そんな感じでもなかったですね。ただ守備のインテンシティが落ちていたのでポジティブトランジションの時間を作るためにボールを奪う力のある選手との交代を決断したのは、なんとなく理解できました。

 

 

失点のシーン

失点シーンに関しては、板倉選手のアプローチが遅れたからですね。

あの場面では、ボールが転がっているときにゴール側からアプローチできる板倉選手が行くべき場面ですね。

f:id:crecerfa:20210804142648p:plain

 

f:id:crecerfa:20210804142651p:plain

そして、板倉選手がいたところにスペースができるのであれば、誰かがペルムータですればいいと思います。この場合だと遠藤選手が埋めに戻るか吉田選手がズレるかですね。

ただこの時間帯で今までこのアプローチをずっとやってきていて、この瞬間だけいけなかったんですよね。この一回です。でも、その隙を見せてしまうとやられてしまうんですよね。

あの場面でも無意識にアプローチに行けるくらいにしていかないといけませんね。

 

監督に関して

無策無策と言われていますが、選手の起用や意図は無策ではなかったように思います。

ただ交代などの戦術に関しては、伝えてるメッセージに無理があったような印象です。

ゲームプランや選手のモチベーターとして優秀なんじゃないかと感じています。

チームの士気も高かったですしね。

ただスペインのゲーム運びを見てしまうと世界との差を痛感してしまいます。

 

 

クレセールとしては、スペイン側の攻守におけるアクションの方が言語化しやすいですね。日本のサッカーとは判断基準が違うかもしれませんが、世界基準の判断を目指してトレーニングをしていこうと思います。