必要な情報を整理整頓する力をつける
この間の記事のブクマコメントに「必要な情報とそうでない情報を瞬時に見分ける能力はある意味特殊能力ですね。」
と頂きました。
僕は、もはやそれが普通だと思っていたので、ここでも気づきがありました。
今回は、この必要な情報を見分ける力をつけるためにどうすればよいのか?
を書いていこうと思います。
将棋の早指しってご存知でしょうか?
いきなりどうして将棋の話?となるのも分かりますが、しばし、将棋のお話にお付き合い下さい。
サッカーは、しばしば将棋やチェスなどのボードゲームに例えられたりします。
それは、精緻化されたサッカーは、将棋やチェスなどの戦略ボードゲームに似ているからです。
その将棋の中でも色んなルールがありますが、持ち時間5分で一手指すごとに5秒追加するフィッシャールールなんかが代表的な早指しがあります。
プロは当然のようにこのルールでも終局まで行きます。
もちろん早指しの得意不得意はあるのでしょうけど。
何故、早指しができるのか?
将棋には、古くから積み重ねられてきた棋譜があり、定石があり、更に棋士同士がぶつかる事により研鑽されてきました。
その定石や棋士の経験則は、日々脳に蓄積され、多くのデータを引き出しに持っています。
棋士たちは、将棋を指す時には、盤面を見ただけで複数の良手が浮かび上がります。
もちろん、その数手先も見えています。
何故ならこうしたらこうするだろう。
という定石や経験則、相手の情報があり、合いの手を重ねるように思い描いた盤面になるように進んでいきます。
この時は、思考していないと思います。
どれも良手ですが、それでも一手一手に優劣があります。
もちろんたまに良手に見える悪手も混ざっているようですが。
それらを精査するために棋士は時間を使います。
僕たち素人のように、どこかに良い手はないかな?
と探している訳ではないらしいです。
複数の良手(正解)から、1番良い手(最良の正解)を選ぶのです。
つまり、どれを指しても悪くない手ですし、相手もその複数の選択肢の続きを知っているんです。
だから、早指しでもレベルの高い対局が成立します。
どうしたらそうなれるのか?
まず、知識として現在の定石を知ること。
そして、その定石の意味を理解することが、まず、第一です。
定石の形だけ真似てもいけません。
何故、そう受けるのかとかを理解することが大切です。
それを元に対局をこなす事で、その定石から多くの選択肢を経験することになります。
それらの経験が蓄積する事で、脳は、思考なしで数手先を見越す事ができるようになります。
サッカーに置き換える
定石というのは、サッカーでいう原理原則だと思います。
原理原則同士が戦う事で、似たような場面を多く経験できるようになります。
ただし、似ているだけで、同じ場面ではありません。
半歩違えば、判断も変わってくるような繊細な経験を多くできるのです。
この経験を多く積む事で、選手は、考えなくても行動ができるようになる訳です。
その為にまずは、原理原則を知る事が大切です。
原理原則とは?
簡単に定義すると、およそ8割の選手が選択する行動と言われています。
ただし、これには、落とし穴があります。
定義だけ見ると、ざっくりとしてて、みんながだいたい同じ行動をとるのが原理原則だよね?
と思いがちですが、原理原則の判断基準を覚えると、同じ状況だったとしても、個人の能力でとる行動が変わってくるのです。
つまり、原理原則とは、普遍的な行動のことではなく、不変的な判断基準のことを指すと理解しています。
必要な情報とは?
個人戦術や集団プレー戦術は、普遍的な基本行動のことです。
ボールを持っていない時の相手に対しての解決行動は、攻守合わせて6つです。
チームを機能させる行動は、7つです。
合わせて13個の行動をどう使うかというのは、認知と個人の判断によります。
ということは、何を認知しているかで、それぞれの行動が変わるのは、当たり前です。
周りを見ろと言われても、何を見たら良いか分からなければ、見ても認知できていないのと一緒です。
じゃあ、何を視るの?というと、不変的な判断基準(必要な情報)を認知することが必要になります。
必要な情報と不必要な情報は、どう見分けるのか?
それは、まず知識として、基礎行動(攻守の6つのアクションとチームを機能させる7つのアクション)の理解とその行動を決定する為に必要な情報(判断基準)を理解することから始まります。
例えば、これらを理解せず、マークとカバーの形を覚えても、立ち位置や体の向きがズレてしまいます。
一歩二歩のズレがかなり致命的になるのが原理原則の解決行動です。
攻撃は、守備が間に合わないように行動しますし、
守備は、攻撃側のボールに対してアプローチが間に合うように行動しますので、一歩ズレたり、準備していなかったり、体の向きが違ったら、間に合わない状況が出てきてしまいます。
恐らく当アカデミーに来ている選手は、その一歩二歩の差の重要性を体感してくれているのではないでしょうか。
細かい判断基準は、お伝えできませんが、
個人戦術だけでいうと、認知するのは、
- ボール状況
- 相手の状況
- 自分の状況
- 目的の状況
を認知します。
たった4つです。
でも、4つをどうやって見るの?というくらい難しいです。
そして、見るポイントや何を見て、何を判断するっていうのも決まってます。
例えば、安定時と緊急時を判断しようと思うとボール状況を認知します。
このボール状況の何を見て安定時と緊急時の判断するの?っていうのが、判断基準です。
一つは、ここでもよく書いているボールにプレスがかかっているかどうかです。
一つだけではありません。他にもあります。
ボール状況の認知だけでも複数個所を視なければいけないのに、一つ一つ視て考えていたのでは、行動が大幅に遅れてしまいますね。
安定時か緊急時かで分かれている基礎行動のフローチャートを理解して、ボールの状況を認知し、どちらかを判断して、次の行動に移ります。
何度も経験して、しっかりとした棲み分けを行います。
その場面を見ただけで、思考せずに安定時か緊急時か判断できるようになるまで、繰り返し経験していきます。
それが理解できたら、
安定時なら解決行動はコレ。
緊急時なら解決行動はコレ。
というの複数の選択肢を実行できるようにしていきます。
安定時の時に、相手からアンプリトゥ(横距離)が十分であれば、プロフンディダは、こう調整する。
アンプリトゥが不十分だから、プロフンディダはこう調整する。
という感じです。
その他にも解決行動があり、そういう多岐に渡るフローチャートの基礎行動と、それに伴う判断基準を理解して、何度も何度も経験することで、全ての行動を思考なしで行えるようにしていきます。
その結果どうなるか?
現象を理解するということは、認知して取った行動の意味が分かるようになります。
そして、その次の正解となるべき複数の答えが判るようになります。
その複数ある政界の行動には優劣があり、相手がとってくる行動を認知して、複数の答えの中からより良い答え(最良の答え)を選択できるようになります。
その正解のプレーの後も、味方や相手の行動が分かるので、その後の答えも分かるようになります。
つまり、数手先のボールの場所が、理解できるようになります。
必要な情報となる判断基準は、予め知識としてインプットして、多くの経験をすることが大切です。
ただし、サッカーはミスをするスポーツですし、質的優位で、それらの現象をぶち破ることもありますので、過信するのはお勧めできませんが。
でも、やっぱり原理原則は、思考せずにできるくらいには、積み重ねておきたいなと思うわけです。
何故なら、チーム戦術がハマ時や相手がやってくることを変えてきたときに、対応するのは個人になります。
それに対応するには、やはり基準となる個人の原理原則でまずは、どうズレているのかを確認できないと、修正が遅くなるからです。
基準を作る上で欠かせない原理原則。
これをしっかりと育成年代で作っていってあげたいです。