この記事では、ポジショナルなプレーとパスの種類と脅威度について書いていこうと思います。
基礎技術内にある「蹴る」の定義
目的(ゴール、味方)に対して、ボールのみを移動させる技術アクション。
ゴールに対しての技術アクションをシュート。
味方に対しての技術アクションをパス。
基礎技術内にある蹴るには、足でのキックのみならず、肩や頭などを使用したものも含みます。
パスの種類
パスの種類は、細かく分けようと思うと、色々と名前を付けれてしまうのですが、大きく大別すると5つです。
- 縦パス
- 横パス
- 斜めのパス
- スルーパス
- ダイレクトパス
では、それぞれのパスの意味を書いていこうと思います。
縦パス
別名「距離を稼ぐパス」とも言われます。
同レーンで1つ前のラインを超えた選手へのパスになります。
横パス
別名「相手を動かすパス」とも言われます。
同ラインから継続側での段階的サイドチェンジ、もしくは、ダイレクト(ロングボール)でのサイドチェンジも含まれます。
厳密に言うと、この辺は、名称として細かく分かれていますが、今回は簡潔にするために横パスとして同じカテゴリに分類しています。
斜めのパス
別名「突破のためのパス」と言われています。
縦パス「距離を稼ぐパス」と横パス「相手を動かすパス」を合わせたパスです。
スルーパス
別名「味方の勢いを利用するパス」と言われています。
ボールを持っていない味方選手が前進のために走っている時に、その選手のスピードを活かす為にスペースにボールを置くようにパスします。
相手守備が止まっていて、味方がスピードに乗っている時は、瞬間的に質的な優位性が生まれているので優位性が高くなります。
ダイレクトパス
別名「相手ゴールへの直接的なパス」と言われ、味方の最終ラインから相手の最終ラインへのロングボール(手前または超える)等を意味します。
パスの意味
パスの種類を把握したら、次はそれぞれの意味や役割を書いていきます。
縦パス
このシーンで言うと②へのパスとなります。
この縦パスは、受け手のオリエンタードが継続(後ろ)側となり、前進しにくい状態で受けることになります。
また、後ろからディフェンスのアプローチがあり、更に前進がしにくいです。
フィジカルやテクニックなどの質的優位や数的優位でのグループ戦術で前進は可能ですが、それらが揃わない時は、前進に適してさないゴールまでの距離を稼ぐだけのパスになってしまいます。
縦パスの脅威度は、質的優位とグループ戦術しだいです。
それらがない時の脅威度は低くなります。
横パス
横パスは、この場合①がもっと明確に継続サポートをしている時の話になります。
横パスと言うのは、相手を動かすパスとなりますので、継続のサポートで相手マークを釣りだしてラインのバランスを崩したり、守備ラインがスライドしないといけない状況をつくります。
横パス自体は、脅威度が少ないです。
しかし、相手の守備を動かして隙を作るためには必要なパスとなります。
ポジショナルなプレーをする場合には、必要不可欠なパスとなります。
斜めのパス
斜めのパスというのは、前進のサポートをした味方に対して行うラインを突破するパスの事です。
②と同様に相手のミドルラインを越え、かつ、サイドチェンジも出来ているパスです。
この斜めのパスは、相手のラインを超える時の受け手のオリエンタードが前進方向に向けれます。
当然コントロールも前進方向にしやすいです。
相手に守備ラインのスライドも必要になるので、脅威度がかなり高いパスとなります。
番外編
③へのパスには、まだ触れていませんが、この③へのパスは、「パレデス(壁パス)」と言われています。俗にいうワンツーですね。
で、この③のパレデスは、①の突破のパスの状態に非常に近いですが、脅威度としては、実は①の方が高いです。
どういう事かと言うと、パレデスで抜けれた場合は、味方に勢いがついた状態なので、瞬間的な質的優位が高まっています。
その点では、①のパスよりも有効です。
しかし、過去のレーンにボールが戻ってくるということは、相手守備はスライドしないのと、カバーがすでにできている状態のこと方が多いです。
つまり、味方の瞬間的な質的優位は高まるけど、相手の守備ブロックは準備できているということです。
これが脅威度的にどうなのかというと、縦パス同様に質的優位やその後のグループ戦術次第なところがあります。
もちろん相手のカバーが遅れてくれれば、大きなアドバンテージを持った状態でプレーできるので、相手の守備ブロックが杜撰な場合は、突破のパスよりも効果は高くなると言えます。
しかし、当然、カバーやペルムータがしっかりとしているチームには、優位性を得にくいことが多いです。
優先順位
ポジショナルなプレーをする為には、これらのパスの意味や役割を理解する必要があります。
そして、そのプレーの脅威度を理解し、優先順位を知っておくべきです。
ポジショナルプレーでの基本的なパスの優先順位
- 斜めのパス
- 横パス
- 縦パス
となります。
恐らくこれを見て、異論があると思います。
一応これには、理由があります。
ポジショナルなプレーをする場合と書いてある通り、リレーショナルなプレーをする場合は、優先順位が異なります。
リレーショナルなプレーの場合は、縦パスとパレデスの優先順位が高くなります。
皆さんが思っている優先順位は、リレーショナルなプレー。
つまり数的優位や社会的優位、質的優位の思考が高い場合の優先順位となります。
ですので、縦パスやパレデスを否定したものではない事をご理解ください。
それでは、話を戻します。
ポジショナルなプレーをする場合には、位置的優位でプレーしていくことが求められます。
それには、ポジショニングや体の向き(オリエンタード)などの意味を理解し、パスの種類や役割を理解する必要があります。
それを理解した上で、
一番優位性が高いのが斜めのパスです。
その次は、ラインを突破する為の下準備である継続のサポートへの横パスです。
特にボールを保持するチームは、縦パスよりも横パスが優先となります。
この横パスでボールが転がっている時にアクションを起こし、より優位な状態で前進側でボールを受ける準備をします。
横パスをした場合にディフェンス側は、スライドしながらボール側に体を向けてしまったり、ボールとマークを一緒に目れない状態になったりします。
そこを利用する為のパスですね。
つまり、ボールを保持する為だけに横パスをするのではないということは、理解しておかなければなりません。
そして、最後に縦パスとなります。
縦パスは、質的優位やグループ戦術、相手の守備の良し悪しに左右されるなど、不確定要素が多いです。
ディフェンス側も、ボールとマークを同一視しやすい状況と言うのもあります。
つまり、ピッチを広く使うポジショナルなプレーからすると優位性を活かせず、リスクが大きいという側面があります。
この状況で②への縦パスは、②が孤立し前進側へプレーしにくい状況となっているので、ポジショナルプレーとしては、やはり優先順位が低くなります。
もちろん、縦パスの状況が良い場合や横パスで相手を動かさなくても良い場合は、縦パスを使うこともあります。
例えば、この状況であれば、②への縦パスは、①がラインを超えてサポートができている状態になるので、有効です。
ただ③への突破のパスが優先となりますので、①へのパスコースが塞がれた場合に縦パスが有効となります。
その他には、フェイクの縦パスを使って、相手守備を集結させるという方法もありますので、その辺は、やはりチームの戦術次第となります。
まとめ
ポジショナルなプレーで使うパスについて書いていきました。
今回書いたものが、正解と言う訳ではありません。
ポジショナルなプレーの原則として考えた場合の優先順位となります。
プレーモデルやチーム戦術によっても変わってきます。
縦パスや横パス、斜めのパスの脅威度や優先順位など、意外だったのではないでしょうか?
最後にもう一度だけ注意書きをしておきますが、このポジショナルなプレーをする場合には、ポジショニングやパスの意味や役割を理解しておく必要があります。
この優先順位でプレーできないというのは、それらの意味や役割を理解できていないということです。
その場合は、ポジショナルにプレーしても上手くいかないことが多くなります。
特に強度の高い相手には難しくなります。
そして、付言すると現代サッカーはポジショナルプレーもリレーショナルプレーもどちらも必要となります。
どちらかの至上主義では、難しくなってきています。
刻一刻と変わるピッチ上の状況を認知し、最適なアクションを個人で判断できるようになっていかなければなりません。