Crecer FA

岡山県瀬戸内市で活動しているスペインメソッドサッカースクール

育成年代の違い 息子がスペインから帰国して苦しむ優先順位の違い

スペインから帰国し、息子は日本のチームで活動しています。将来的には、スペインでやりたいという希望は変わらずあります。

今回は、日本とスペインでのサポートの優先順位の差に苦戦したことを書いていきます。

 

現在のチームは、試合ではロングボールが多く、守備も前からプレスに行きます。よくあるチームコンセプトですね。

練習は、ビルドアップの練習はしますが、基本的に引っかかることが多いので試合は蹴る事が多いです。

こうやって書くとそれがダメとか嫌だとかネガティブに捉えられるかもしれませんが、そんな事は思いませんよ。チームとしてリスクを管理して勝つために必要な事だと思いますので。

 

息子は、帰国後は左サイド→左のトップか左インサイドハーフ→右サイド(現在)と右サイドに落ち着きそうな感じですね。

 

 

そんな現状ですが、スペインと日本のギャップに苦しむ事が多々あります。

 

特に安定時のサポートの判断で個人戦術アクションのアンプリトゥ(横距離)とプロフンディダ(縦距離)をとると、ボールに寄ることを指導されることが多いです。

味方との距離を短くすることを優先します。

 

この辺のギャップは、見ている私としては、苦しいものがありますが、息子には、チーム戦術が優先だから、しっかりと理解してプレーできるようにしようと話しています。

 

むしろ、緊急時のサポートでボールを受けてプレーする良い機会だ。

と思って割り切っています。

 

 

これどういうことかというと。

 

基本的なマークの担当との立ち位置の優先順位があって

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:左攻めのアンカー(PLAYER)の立ち位置の優先順位は、個人戦術の最小単位が数的優位の場合、相手チームトップ下の選手を基準としたラインより前が前進のサポート、後ろが継続のサポートとなります。

また、相手トップ下の選手を基準にボールから遠い方がブラインドサイド側、ボールに近い方が緊急時側となります。

 

そして、スペインでの優先順は、

 

①前進側のブラインドサイド側>②継続側のブラインドサイド側>③前進側の緊急時側>④継続側の緊急時側

 

となります。

この優先順位には集団プレー戦術も含めたものになります。

 

このサポートのどの立ち位置を選択するのかは、判断基準があり、選手が判断基準を認知し、アクションを起こします。

その時に用いられる個人戦術アクションが、アンプリトゥ(横距離)、プロフンディダ(縦距離)、デスマルケ(マークを外す)です。

更に言うとここに集団プレー戦術でチームを機能させるような調整を行っていきます。

 

日本の選手はよく④番に立ちます。

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この立ち位置は、緊急時のサポートといいますが、一番優先順位が低いです。

もちろん、これが間違いというわけではありませんが、優先順位が高い立ち位置が取れるときも緊急時に立つことが多いと思います。

 

で、日本の選手はここに立ってボールを受けることが多いのですが、体の向きも作れませんし、ディフェンスに監視された状況かつアプローチが届いてしまいますので、フィジカルや技術アクションでどうにかしなければなりません。

育成年代で体が大きい選手や足の速い選手、足元の技術が高い選手が優遇される理由は、この状況をどうにかするためですね。

 

息子は、アンカーではないですのでインサイドハーフ時代に取っていた立ち位置を書くと

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だいたいこの辺に立ってます。

安定時の状況によって相手の担当ボランチより前進側に立つか継続側に立つか判断している感じですね。

 

この立ち位置の何が良いっていうのは、個人戦術と集団プレー戦術を知ると納得してしまいます。前進のサポートで速いボールを受けるとマークに勝った状態でボールを受けれるので1対1をする必要がない。

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受けた後の攻撃のオプションは、

①自分のコンドゥクシオン パラ プログレサール(前進の運ぶドリブル)

サイドハーフの足元への速いパス

サイドハーフの裏へのスルーパス

④トップの足元への速いパス

⑤トップの裏へのスルーパス

⑥逆サイドが入れればファーサイドのシュートゾーンへのクロス

と攻撃のオプションが豊富です。

その選択肢の優先順位もあり、どれを選択するかの判断基準もあります。

認知をするのはその判断基準ですね。

 

 

次に継続のサポートになると

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受けた後のオプションは、

サイドハーフへの速いパス

サイドハーフの裏へのスルーパス

③ワンツーでの突破

④レガテからの前進

となります。

レガテの前進は確実性がないので、相手のアプローチが来なかったらコンドゥクシオンする感じかと思います。

 

さて、では緊急時のサポートだとどうなるかというと

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攻撃のオプションは

①ワンツーでの突破

②バックパスとなります。

 

どうしてそうなるのかというと

自身の体の向きと担当マークのプレス方向が関係してきます。

緊急時のサポートの場合、アプローチがかかりやすいのもありますが、ブラインドサイド側にボールを置けないので、ボール側へのプレーになってしまいます。

 

このサポートの優先順位の違いはかなり大きいですね。

 

しかし、

息子がアンプリトゥを取って、プロフンディダを調整してポジショニングを取ると

「動け」

「寄ってサポートをしろ」

と指導されていましたね。優先順位が違うと結構戸惑いがあります。

 

 

ただ、どちらが良い悪いということではなく(私的にはサポートを使い分けて後々の攻撃のオプションを増やす方がいいと思っています)。

 

スペインで学んだこととチームが採用する優先順位の違いがここまで苦しいものだとは思いませんでしたが、今はその違いを理解し整理して使い分けながら割り切ってプレーすることが、必要だと感じています。

緊急時のサポートの時にフィジカルや技術でマークを剥がす事で、その他の選択肢を作る事ができるので、それを習得しつつスペインの良いところを忘れないようにしています。

ただプレスがかかるということは、勝つか負けるかは分からないので、その他の選手の立ち位置が微妙になるのがなんとも変な気持ちになりますけどね。

 

今回はアンプリトゥとプロフンディダについて書いていきましたが、デスマルケに関してもその違いを感じましたので、また後日書いていきます。